2011年01月17日

アールのお話

週末の雪にはビックリしました。
ちょうど、高速道路を利用したのですが、生きた心地がしませんでしたねw
みなさん、こんばんは。Altero Custom Guitars やっさんです。



さて、たまにある真面目な話シリーズですw
今日は、指板の『アール』のお話です。


ギターやベースの指板(弦を押さえる面)には、いろんな種類があります。
素材もそうですが、実は形状も様々なのです。


一般的なエレキギターを例にしてみましょう。

まず、指板面には弦に垂直になるような感じで(厳密には垂直ではない)、
丸みがついています。

それを『アール』と呼んでいます。
アールとは、半径=Rのことですね。


では、どれくらいの丸みなのか?

フェンダーストラトキャスターでは、R180程度の丸みがつけられています。
因みに、すべてのストラトがそういうわけではありませんよ~。

ギブソンレスポールでは、R400程度となっています。

R180とは、半径180mmの円の弧を指します。
つまり、数値が小さくなる程、丸みがきつくなっていくことになります。


程度と記述しているのは、実際はインチで製作されていることが多く
国産とUSA製でわずかな誤差があるためです。



さて、『アール』の違いは、どのように影響するのでしょうか?


最も影響を受けるのは「演奏性」と「機能面」というところでしょうか。


指板のアールが小さくなる程、グリップは円柱に近くなっていきます。
ネックを握りこんで弾く(シェイクハンドスタイル)方などは、
コチラの方がスムーズなフィンガリングが出来る傾向があるようです。


逆に、親指をグリップに立てて弾く(クラッシックスタイル)の方は、
指板アールが大きい方が向いているようですね。
現にクラッシックギターは、指板アールが無く、フラットとなっています。


とは言うものの、この演奏性に関わる部分は、
ほとんど好みの領域となってきますので、一概には言えないところです。



では、機能面というと。。。

アールが小さいことによって、結構な問題が出てくるのです。


まず、チョーキングしたときにビリつく・音が切れるというもの。
これは、物理的にフレットに弦が触れてしまうので、解消するのは困難です。


次に、弦高は指板に対して設定することになるので、
ピックアップからは3,4弦が高くなってしまい、
出力にバラつきが出てしまいます。
この問題については、あらかじめポールピースが各弦ごとに調整してある
ピックアップやポールピースの高さが調整できるピックアップを
使用することで解消できますが、それが要因で音が変わると言う意見もあります。


似たようなことなのですが、弦高を低めに調整しても、
真ん中の弦(3,4弦)に行くほど高くなっているように感じてしまう。
実際は、低く設定してはいるのですがね。


この様に、指板アールを小さくすることにより問題が発生してしまいます。



なら、最適な指板アールはいくつなのでしょうか?


指板アールを決める際、「使用するブリッジ」が要因の一つとなります。
レスポールなどに使用されている「TOMスタイル」や
フロイドローズなどの「ロック式ブリッジ」の場合、
各弦独立して弦高調整が不可能なので、指板アールをブリッジに合わせることになります。


ですので、レスポールなどに使用されている「TOMスタイル」や
フロイドローズなどの「ロック式ブリッジ」を使用するならば、
ブリッジにあわせた指板アールが最適なアールということになります。



各弦ごとに弦高調整が可能なブリッジを使用する場合は、
その辺を気にせずに指板アールが設定できます。

ということで、演奏スタイルや好みで決めることになります。


最近は、なるべく低く弦高をセッティングしたい方が多いのもあり、
R300~R350程度のギターが多く見られます。



あと、例外的なアールに「円錐状指板」というものが存在します。
多くの不具合は通常の指板が「円柱状指板」だから起こります。
なぜならば、弦は「円錐状」に張られているからです。

そこで、指板も「円錐状」にしてやったわけですね。


ですが、「円錐状指板」は、あまり多くは見られません。

問題は、加工が困難で量産には不向きだからと言う点です。
「円錐状指板」は指板エンドと0フレットでアールが異なります。
機械加工ではその加工が難しく、どうしても手作業が必要なのです。

なので、指板を円柱状にし、すり合わせでフレットを円錐状に仕上げて
つじつまを合わせているのが多くのギターなのですね。
というか、それで機能上も特に問題が無いと言うのも理由ですね。



と、『指板アール』について書いてみましたが、
最終的には”好み”になってしまうんですよね~。




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